自傷行為の誤解と偏見① －“いのち”の意識が低い人たち？
私たちは自傷行為の何を誤解しているのか？
それを物語るものとして、とある新聞記事から引用したいと思います。
下記は大手新聞に実際に掲載された読書欄の記事です。
私はこの前、電車の中で前に立っていた女性の手首にリストカットの跡があるのを見てしましました。
最近命についてのみんなの意識がとても低くなってきていると思います。集団自殺する人や、自分を育てて
くれた親を殺してしまったりする人が多すぎると思います。世界中には、病気で生きたくても生きることができ
ない人や戦争の犠牲になっている人がたくさんいます。それなのに、自分の命を捨ててしまう人や命を簡単に
考えている人がいることに、私はとても残念に思います。 私もたまに、苦しいときがあってすべてを投げ出して
しまいたくなるような時があります。でも、そんな時に支えてくれるのは人です。''命''がある人です。風邪にな
って気付く、そしてケガをして気付く健康でいることの喜びを、私たちは普通のことのように思って忘れている
と思います。命についてもう一度考えてみてほしいと思います。
この記事を読んで納得する、あるいはごく当然の話だと思う人が多いのではないかと思います。大手新聞において読者からの投稿が記事に採用されるほどですから、この記事の内容に共感できる人が多いことは推察できます。しかし、この記事の内容に自傷行為の誤解や偏見を見出すことができます。
自傷行為の誤解や偏見とは、自傷行為の目的が自分の命を終わらせる生の帰結、自殺と考えられている点と、自傷をする人たちが自分の命を軽んじているという点です。
この誤解と偏見に関して、次ページにおいて多数の文献において指摘されている自傷行為の誤解や偏見を述べて説明したいと思います。
参考文献
※引用した新聞名の記載についてですが、実際の新聞記事には、投稿者の実名が記載されています。投稿者の匿名性を尊重するため、引用元は記載致しません。申し訳ありませんが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。